工場倉庫で多発する車両盗難とパーツ盗難の根本的解決方法を紹介
近年工場倉庫では、私有地に駐車している車両や車パーツの盗難被害が相次いでいます。工場倉庫は立地環境柄不法侵入が容易く、また防犯対策も緩いことから、窃盗犯の温床になっている現状があります。
しかし、車両やパーツの盗難被害は、場合によっては事業が傾く損失を被ることもあり、絶対に看破できるものではありません。そこで、ここでは工場倉庫における車両やパーツ盗難の根本的な解決を目指した防犯対策をご紹介します。
工場倉庫における重大なリスクとは
工場倉庫には以前より複数のセキュリティリスクが懸念されてきました。
・商品への異物混入
・内部不正
・放火
・侵入盗
上記はいずれも工場倉庫にとって重大なリスクとなりますが、昨今被害件数が上昇傾向にあるのが「車両や車パーツの盗難」です
近年は車両やパーツ盗難の被害に遭う工場倉庫が多い
工場倉庫は作業着を着用していれば、周囲に怪しまれることなく出入りすることができるほか、夜間は従業員も退社しているため、比較的容易に敷地内に侵入することができます。
また、「明日は朝早くから現場だから」という理由で車にキーを挿しこんだままにしたり、車庫に入れずに屋外に野ざらしで駐車するなど、会社や従業員の危機管理意識の低さも要因の1つに挙げられます。
工場倉庫で車両やパーツ盗難が近年多発する理由
2016年以降、日本における中古車輸出市場は堅実に伸びており、日本車が信頼されているアジア南米を中心に、日本の軽トラックやハイエースのようなバンは、多少古くてもすぐに売却することができます。
工場倉庫を専門に狙う組織犯罪の増加
また、昨今は上述したセキュリティの甘さを狙い、工場倉庫を専門に狙う犯罪組織も増えてきました。中には外国人組織犯も見受けられ、窃盗の悪質化も年々目立つようになっています。
工場倉庫が所有する車パーツは高値で売れる
侵入者によっては、車両ではなく車パーツを狙うケースも散見されます。車パーツで被害に遭いやすいのは、「ライト」、「ワイパー」、「タイヤ・ホイール」、「ナンバープレート」など。また、車内のカーナビやETC車載器、ドライブレコーダーなども高値で転売できるので要注意です。工場のトラックであればETC車載器は必須ですし、カーナビとドライブレコーダー有無は窓越しに確認することができます。
また、車の助手席や後部座席に電動工具や金属資材を積み込んでいたら、そちらも盗難被害に遭う確率が高いです。「明日の早朝に出荷しないといけないから、今の内に商品を積み込んでおこう」というのは実際よくありますが、大事な商品を一夜車に置いておくのは、工場倉庫にとっては非常にリスクが高いことを覚えておいてください。
工場倉庫の元従業員の犯行の可能性もある
工場倉庫でこのような窃盗が繰り返される場合、元従業員の犯行の可能性も否めません。元従業員が私怨で悪質な悪戯に及んでいるケースは、実は少なくありません。
従業員と連絡を取り合っている可能性も考慮
元従業員の場合は、素人のため防犯対策の有無までは把握していません。そのため、適所に防犯カメラを設置できているのであれば、犯行現場はもちろん、顔の特定もそれほど難しくはないはずです。ただし、元従業員が窃盗犯の場合、「手引きしている従業員」がいる可能性も危惧しなければなりません。
従来の防犯対策はすべて攻略されている
工場倉庫の多くは、設立当初から5年も10年もずっと同じ場所に防犯カメラを設置していることでしょう。しかし、月日が経てば敷地内のレイアウトも変わりますし、また、なにを防犯したいかによって、設置場所やカメラの機種は随時変えなければなりません。
一昔前と異なり、近年は車両や車パーツの窃盗の手口も大分変ってきました。従来の防犯対策はプロの窃盗犯には攻略されていると考え、工場倉庫は新たな策を講じる必要があります。
工場倉庫に侵入させない方法を第一に考える
多くの工場倉庫では、性質上倉庫や資材置き場、事務所内部の防犯対策を強化していますが、その反面、敷地の出入口や駐車場、ヤードなどには防犯カメラすら設置していないところも多いようです。
大胆な組織グループになると、一夜で工場倉庫内の車両やパーツをすべて持ち出す事例もあります。盗難被害にあった車両はすぐさま不正輸出されるか、解体されて国内に転売されるため、仮に逮捕できたとしても、車両が戻ってくる保証はありません。そのため、大切となるのは、犯人逮捕のための防犯対策ではなく、犯行をさせない、侵入させない防犯カメラの設置となります。