屋外向け防犯カメラを無線(WiFi)にするまでの流れと注意点
企業が屋外防犯カメラの設置で無線(WiFi)の使用を希望する場合は、どのような点に注意すべきでしょうか。ここでは防犯カメラの無線化、及び設置までの流れをご紹介します。
屋外防犯カメラは近年無線化(ワイヤレス)が進む
屋外防犯カメラは2000年以降急速に技術改革が進み、インターネットを駆使した無線化(ワイヤレス)が浸透しました。従来のアナログカメラもまだまだ現役であるものの、今後新しく発売するほとんどの機種がネットワークカメラ(IPカメラ)となります。
ネットワークカメラの特徴・利点としては、大きく分けて「ケーブルの無線化」と「ネットワーク技術を利用した遠隔操作」が挙げられます。
無線でデータ通信を行うことにより、スマホやタブレットといったモバイル端末で屋外防犯カメラを遠隔操することもできますし、防犯カメラで撮影した映像をネット上のクラウドに転送することもでき、昔のアナログカメラと比較して管理方法が大きく変わっていきました。
屋外防犯カメラの録画&操作を無線にする。種類を紹介
屋外防犯カメラの設置に際して、「できるだけ無線でワイヤレスにしたい」と希望する企業もあります。では、屋外設置型の防犯カメラを無線にするためには、どのような方法が考えられるのでしょうか。
WiFiで防犯カメラを無線化するポイントと注意点
屋外防犯カメラを無線化する第一歩が「WiFi」の活用です。ネットワークカメラを使用するためには、必ずインターネット環境が必要となります。インターネット環境の構築は「WiFi」と後述する「SIMカード」になりますが、一般的にはWiFiを利用する企業が多いです。
WiFiで防犯カメラを無線化する場合は、電波の飛距離に注意が必要です。カタログスペックだと見通しで100~300mとありますが、これはあくまでもルーターとカメラ本体の間に電波を遮る障害物が何もない状況が前提となります。
企業が防犯カメラを屋外に設置する場合は、壁やガラスドアなど電波を通りにくくする障害物が多いので、実際は30m前後しか飛ばないことがよくあります。無線を断念して有線にする理由にもなりますので、防犯カメラをどこに設置するかは無線化をするに当たり非常に重要なポイントとなります。
SDカードで防犯カメラを無線化する方法
SDカード内蔵の防犯カメラは、カメラの映像をSDカードに保存することができるため、録画レコーダーを必要としません。モニターとレコーダー、レコーダーと防犯カメラのケーブルをなくすことができるのがメリットとなります。また、レコーダーは5万~20万円ほどするため、初期費用の削減にもつながります。
近年はSDカードも大容量タイプが増えてきたので、レコーダーほどではないにしても、それに近い長期間の録画も可能となります。
一方でSDカードは防犯カメラ本体に装着して、24時間365日稼働を続けるため、破損しやすいのが欠点となります。定期的にきちんと録画されているか、映像を見ることができるかを確認するとともに、1年に1回は交換するようにしてください。
SIMカードで防犯カメラを無線化する注意点
防犯カメラのネットワーク環境の構築方法は、上述したWiFi、もしくはSIMカードのいずれかとなります。SIMカードは無線においてはWiFiよりも電波が安定しています。また、SIMカードは全国の基地局を介して使うため、スマホが繋がるところであれば、どこに防犯カメラを設置してもネットワーク構築をすることができます。
事務所から200~300m以上離れている場所に防犯カメラを設置したい場合、WiFiのケーブル工事もできない可能性があるので、SIMを視野に入れるのもいいでしょう。
屋外防犯カメラを無線で運用すべきケース
ただし、一般的に屋外防犯カメラであっても、基本は配線工事を経て「有線」接続するのが一般的です。それでは、無線化する場合は、どのような周辺環境が考えられるのでしょうか。
公道を挟む
例えば会社の事務所から公道を挟んで、向こう側の敷地に防犯カメラを設置したい場合、公道の地中にケーブルを埋める工事をするわけにはいきませんので、有線は不可能となります。
この場合、最初はWiFiで電波が届くかを検討しますが、多くの場合は中継器を介しても難しいのが現状です。WiFiの無線が利用できないのであれば、SIMカードを活用することになります。
SIMカード内蔵の防犯カメラは、まだ種類が多くないので、機種の選定は慎重になる必要があります。
2.自然エリアなど電源がとれない・ルーターを傍に置けない
自然公園やビジターセンター、工事・建築現場のような場所では、電源を余分にとることができないケースが多いため、レコーダーやモニターの電源などを引くことができないこともあります。このような状況も無線WiFiかSIMカードを活用することで解決できます。
WiFiを無線にしても電源の配線工事が必要
屋外防犯カメラの無線化を考える場合は、WiFiを最初に考慮することになりますが、仮に電波が十分に飛んで映像も鮮明にモニターに映すことができたとしても、電源ケーブルの配線工事は必要となることは覚えておいてください。
いまは電源をとれるLANケーブルもあるので、配線は1本で足りるため、電源工事をするのであれば工事費用は安くならない可能性もあります。
電源とインターネットの両方を無線化することで、工事費用は大幅に削減することができますが、現在のところ、企業向けの防犯カメラで電源も無線化できる機種はソーラーカメラくらいとなります。
屋外防犯カメラを無線で設置するまでの流れ
屋外防犯カメラの導入は下記のような流れで進めることができます。最初の販売店選びも企業にとって重要なポイントとなるので、単に見積で安いところと契約するのではなく、担当者の人柄やアフターサービスなどを鑑みて決めるようにしましょう。
1.セキュリティ機器の販売店に相談する
まずはセキュリティ機器の販売店に問い合わせをしましょう。近隣の電気屋や家電量販店で販売している防犯カメラは往々にして家庭向けとなるのでおすすめはできません。
同じ地域にあるセキュリティ機器の販売店であれば、担当者に現地調査を依頼することができますし、実機を用いたロケテストも可能です(事前契約が必要なケースもあります)。
2.日時を決めて専門家による実地調査&ロケテストをする
セキュリティ機器の販売店には「防犯設備士」の資格を持った担当者が在籍しているはずです。防犯関連のエキスパートとなるので、彼らに実地調査に来てもらい、自社の設置環境に最適な機種を選定してもらいます。
また、防犯カメラの操作性や映像の画質などもこの時点で確認することができます。
3.販売店から最適な機種を提案してもらう
販売店から機種を提案してもらうことができますが、注意点としては「機能がオーバースペックにならないようにする」ことです。販売店の中には高い機種を売りつける業者もありますので、本当にその機能が自社の運用体制に必要なのかどうかは社内で再度吟味するようにしましょう。
また、防犯カメラは一括購入よりもリースやレンタルをした方が初期導入費用を抑えることができます。
リース契約は償却期間5年で与信が必要となる一方、レンタルは販売店の所有機を期間限定で借りることになるので余計な審査が不要です。その代わりリース料金よりも月々の支払は割高です。
まとめ:防犯カメラの無線化は費用やメリットをよく考えよう
防犯カメラの無線化を「初期費用の節約目的」で検討していると、案外安くならずに「無線にした意味がない」となる可能性もあります。防犯カメラの無線化は配線工事ができない設置環境のときの材料の1つとして考えておくのがいいかもしれません。
自社にとって本当に防犯カメラを無線化することにメリットがあるのかどうかを、今一度考えてみてください。