運行管理者は必須対応!点呼の法令改正(2024年4月施行)解説
2024年4月以降、「旅客自動車運送事業運輸規則」が改訂され、貸切バスの運行管理者は法令により点呼の録画・録音が義務付けられます。ここでは制度変更の内容を解説します。
運行管理者の業務内容を法令から見直す:安全規則に則った対応が重要
運行管理者の業務内容は、主に「車両管理」と「ドライバー(運転手)の管理」となります。後者のドライバーの管理については、具体的に以下が業務内容として挙げられます。
- ドライバーの勤怠管理・シフト作成
- 常務記録の日々の確認と管理
- ドライバーの勤務中における休憩・睡眠時間の確認と確保
- ドライバーの身体(疲労)管理
- ドライバーの研修と安全運転の周知徹底
- ドライバーの業務前後の点呼(アルコール検査含む)
運行管理者の業務を怠ると罰則もある
運行管理者の安全規則は国土交通省によって法令管理されており、業務を怠ることにより、事業停止から罰金、懲役刑まで発生する可能性があります。特に近年は貸切バスにおける大事故の発生により社会の注目を受け、国全体で大規模な法改正・罰則強化の方針を固めています。
ちなみに一部で常態化しつつある「運行管理者の名義貸し」は重大な法令違反となり、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはその両方が科せられます。旅客自動車業や物流業者は、今一度運行管理者の業務内容を見直し、法令に則った徹底を強く推奨します。
運行管理者は見直しが必要。旅客自動車運送事業運輸規則の一部改正と点呼について
2016年軽井沢スキーバス転落事故(乗客15人死亡)や2022年静岡観光バス横転事故(乗客1人死亡・28人重軽傷)の発生を受け、国土交通省が旅客自動車運送事業運輸規則の一部改正を実施しました。全国の運行管理者は旅客自動車運送事業運輸規則改正内容を見直し、新制度に向けた取り組み、体制の変更が必要となります。
国土交通省令(令和五年公布):新制度・点呼の録画義務の実施は2024年~2025年より運用開始
国土交通省令となる旅客自動車運送事業運輸規則の一部改正と実施は以下を参考にしてください。
公布:2023年10月10日
施行:2024年4月1日より
※2024年3月31日以前に新規登録を受けた車両の運行記録は2025年3月31日まで従来のアナログ式運行記録を用いても構いません。
旅客自動車運送事業運輸規則の新制度(一部改正)については、点呼・業務記録の録画・録音及び紙媒体からデジタルへの保存方法の移行が主となります。
現在の車両は2025年3月31日まで現状の運行記録方式を続けられますが、あくまでも猶予期間となるので、2024年度中に必ず旅客自動車運送事業運輸規則の改正に則った記録・保存方法に切り替えなければなりません。
運行管理者向け法令(新制度)①:輸送安全関係書類及び記録の保存期間延長
新制度の具体的な概要としてまず挙げられるのが「各種書類・記録の保存期間の延長」です。運送引受書、点呼記録、業務記録などは現状1年間の保存義務が課せられていますが、この保存期間が3年に延長されます。
また、保存期間の延長に伴い、当該記録の保管方法はすべてデジタルへと移行します。現状書類(紙媒体)で保存・管理している企業は、正式な施行開始日までにデジタルに移行しなければなりません。
運行管理者向け法令(新制度)②:録音・録画による「点呼」記録の保存義務
一般貸切旅客自動車運送事業者の運行管理者は、日々ドライバーの点呼管理をしていることでしょう。今回の法令改正を受けて、運行管理者及び事業者は、ドライバーの点呼記録の管理義務だけでなく、点呼の様子を録画・録音する義務・責任を負わなければなりません。
これはドライバーの成りすましや点呼義務の怠慢を防ぐことを目的としています。通常は防犯カメラ(監視カメラ)を点呼現場に設置することが望ましいとされており、また、ドライバーが遠方により動画撮影が困難な場合に限り、電話による音声録音が許容されています。
運行管理者向け法令(新制度)③:アルコール検査の画像&保存義務
一般貸切旅客自動車運送事業者は運行管理者の下で点呼時にアルコール検査(呼気検査)を実施しますが、法令改正後は当該アルコール検査実施中の様子を写真撮影し、画像にては最低90日間のデジタル保存が義務付けられます。
ただし、上記②で点呼時に動画(映像)撮影している場合は、当該写真撮影は不要となります。
運行管理者向け法令(新制度)④:運行記録計のデジタル保存義務
一般貸切旅客自動車運送事業者は日ごろから運行記録を保存・保管する義務があります。現状は紙面にて記録をつけてファイルにて保管している事業者が多いですが、法令改正後はデジタル保存が義務付けられます。「紙面媒体でも構わないじゃないか」という声もあるようですが、紙面媒体の場合、記録の改ざんや書類の紛失、劣化による視認性の低下等が懸念されるため、これら問題を解決できるデジタル保存が有効となります。保存期間は3年間です。
運行管理者向け法令(新制度)⑤:事業者の安全への取り組み公開内容の拡充
現状、すべての貸切バス事業者は、国土交通省指示の下、安全情報をホームページ上に掲載、公開しなければなりません。項目は「事業者団体の加入状況・貸切バス事業者安全性評価認定の取得状況・保有車両の具体的情報・ドライバーの具体的情報・事故や行政処分の履歴情報・第三者機関を通じての安全確認情報等」が公開内容となっていますが、法令改正後は「安全運転・安全性向上に向けた実技指導等の有無」も公開する必要があります。
参照:「貸切バスの安全性向上に向けた対策のための制度改正(国土交通省)令和5年10月10日※プレスリリース」
営業所ごとに運行管理者及びWeb担当の選任・見直しが急務
上記解説した5項目の法令改正は猶予期間が1年間となります。多くの企業は2024年度の年度予算を確保して、法令改正に向けたデジタル機器の設備投資をしなければなりません。
また、営業所ごとに運行管理者及びWeb管理者を選任し、場合によって人員の見直し、採用・確保も視野に入れる必要があります。
法令改正に伴う運行管理者の点呼時の防犯カメラ運用の注意点
今回の法令改正により、運行管理者がドライバー(運転手)を点呼する際、点呼の様子を映像にてデジタル保存しなければなりません。一般的には防犯カメラ(監視カメラ)の運用が第一に検討されますが、中には「既に防犯カメラは事務所に設置済みだから、それを使いまわせばいい」と考えている事業者もいるでしょう。
しかし、古くに設置した防犯カメラは画質・解像度とともに低いため、運行管理者とドライバーの顔を鮮明に映すことができないかもしれません。また、セキュリティ目的で設置した防犯カメラの多くは保存期間が1か月程度です。今回の法令改正では3か月の保存が求められるため、各営業所毎に法令に則った専用のカメラを設置するのが推奨されます。
運行管理者必見:法令改正対応済の点呼の録画・録音システムは防犯カメラナビ~1日90円から
防犯カメラナビでは、今回の旅客自動車運送事業運輸規則の法令改正に対応した点呼時の録画・録音システムを販売開始しています。全国の貸切バス及び物流事業者に対応しており、どこよりも迅速な設置が可能です。
法令改正の実施に向けて、これまでアナログ(紙媒体)で記録していた事業者の多くに、高度なデジタル機器の整備が求められます。「点呼の様子の録画機器の予算なんてとれないよ」という小規模事業者はもちろん、これを機会に防犯システム、点呼記録システムの大がかりな見直しを検討している企業含めて、防犯カメラナビ担当者が予算と目的に応じて最適な提案をさせていただきます。
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