屋外防犯カメラ設置で近所・近隣・隣人トラブルの解決方法
屋外防犯カメラを設置する個人・企業は近所・近隣・隣人とトラブルになりがちです。犯罪を未然に防ぐために設置したにも関わらず、結果としてプライバシーの侵害で訴えられる可能性もあります。
そこで、ここでは屋外防犯カメラの設置による近隣トラブルの回避方法を解説します。
防犯知識の持たない初心者が自身でカメラを設置した場合、誤った運用方法をしていることがあります。まずは防犯カメラの専門店に相談してみてください。
防犯カメラを設置する企業はプライバシーに注意が必要
防犯カメラを現状既に設置している企業は、近隣や通行人のプライバシーの侵害の有無を今一度見直してみてはいかがでしょうか。近年凶悪犯罪の増加に伴い、大手はもちろん零細中小企業も防犯カメラの導入が進んでいますが、防犯知識のない会社が独自で設置した場合、近所・近隣・隣人とトラブルになる可能性もあります。
特に住宅街や繁華街に事務所を構えている個人・会社はより注意が必要となります。
自宅が事務所の個人事業主もご近所トラブルに発展しやすい
フリーランス・個人事業主・一人社長の場合、自宅を事務所にしているケースが多いため、近隣と防犯カメラの向きや録画の有無を巡ってトラブルに発展しがちです
近隣住民とのトラブルはご近所関係もあるため極力避けたいところです。しかし、近隣住民とのトラブルは法律の可否関係なく感情論となりがちのため、よく話し合って理解を得ると共に、事前に対策をしておく必要があります。
屋外防犯カメラの近所・近隣・隣人のトラブル事例
屋外防犯カメラの近所・近隣・隣人のトラブルは近年増加しており、いずれも違法性の有無よりはお互いの妥協点が焦点となっています。
飲食店と近隣住民のトラブル。屋外防犯カメラの向きが問題に
飲食店は若者の住宅街にあり、駐車場を設けている店舗が多く、若者のたまり場となりやすいのが特徴です。そのため、悪戯や不法投棄防止のため、駐車場や歩道傍に防犯カメラを設置するケースがありますが、防犯カメラのレンズが一部公道に向いているため、毎日同道路を歩いて通勤する近隣住民が不快に感じ訴える事例がありました。
近隣住民とトラブルに発展する事例は多く、住民の生活圏内に防犯カメラがあり、なおかつ道路を向いていたり、私有地からカメラが視界に入る場合、人によっては「監視されている」、「毎日録画されていると思うと気持ち悪い」と拒否反応を起こす傾向にあります。
また、上記では飲食店を事例に挙げましたが、その他にも歯科医院や塾・教室、整体院、美容院といった地域密着型のサービス業を営む人は、近隣住民からの苦情で変な噂が立ってしまったりと、経営に支障が出ることもあります。そのため、対応はより慎重にならなければなりません。
マンションで防犯カメラを独自に設置。同じフロアの住民からクレーム
こちらも全国で見受けられる問題です。マンションの廊下は共有スペースとなりますが、そこに管理人でもない居住者が独自に防犯カメラを設置し、同じフロアの住民と揉めるケースです。設置者の言い分としては「不審者がいないか確かめている」、「違法性はない」というのものですが、当然同じ階層の住民は不快に感じます。
屋外防犯カメラで近隣が映るのは違法?
近所・近隣・隣人と防犯カメラの向きや録画にあたっては、個人・企業ともにトラブルが見受けられますが、一方でいずれも法的に罰せられるような違法性が認められることは滅多にありません。
ただし、上記で挙げたマンションの問題は、裁判で設置者に対して防犯カメラの撤去命令が下されています。これは一介の居住者がやるべき行動範囲を超えていることが認められた形となります。
屋外防犯カメラを道路に向けるのは違法?
一方で一般の個人や企業が自社の屋外防犯カメラを道路に向けて設置すること自体は違法ではありません。「でも毎日カメラの傍を通行しなければならなく、非常に不快だ」という意見もあるでしょうが、そもそも論として、防犯カメラは人を監視するためではなく、犯罪や事故・事件を未然に防ぐための「防犯」目的の設置となります。そのため、監視しているわけではない以上、法律の観点からもプライバシーを侵害しているとは言えなく、通行人が防犯カメラの設置者に対して賠償請求や撤去措置を争うのは難しいことが挙げられます。
屋外防犯カメラで近隣トラブルの回避方法
とは言っても信頼とブランドを背負う企業としては、近隣住民とのトラブルは避けたいところです。そこで、下記で紹介する回避方法を念頭に防犯カメラの運用規定を改めてみてはいかがでしょうか。
また、これから屋外防犯カメラを新設する予定の個人・企業担当者も設置の際の参考にしてください。
1.近隣住民を招いて説明会を実施する
こちらは自治会・町内会・管理組合などが主に取る手法の1つです。防犯カメラは防犯目的であっても、どうしても不特定多数の人間を撮影してしまいますし、日々の生活圏に防犯カメラがあれば、アレルギー反応を示す人は少なくありません。
そのため、事前に近隣住民を集めて防犯カメラの目的を説明し、理解を得るための説明会・集会を実施するのが有効です。
2.防犯カメラ傍に表示版を設置する
こちらも公道や公共施設に防犯カメラのレンズを向ける際によく用いられる方法です。防犯カメラの傍に「防犯カメラ作動中」、「24時間監視中」、「不審者は防犯カメラに録画されています」といった警告を含めた表示板を設置するのも効果的です。不審者に対しての威嚇の意味もありますし、通行人や近隣住民に対して了解と理解を得るための布石の意でもあります。
3.屋外防犯カメラの形状をドーム型にする
屋外防犯カメラは、不審者を威嚇撤退させる意味でも存在感が大きい方が良しとされ、ボックス型やバレット型が用いられるのが通常です。しかし、近所・近隣・隣人とのトラブルを避けるために、あえて目立たないドーム型にすることも可能です。
ドーム型は機種によってはレンズがカバーに覆われて見えないため、カメラがどこを向いて、どこを撮影しているのか分からなく、カメラに敏感な人も許容する傾向があります。ただし、ボックス型やバレット型と比べると画質や夜間撮影の映像性能が低い機種が多いため、機種の選定には注意が必要です。
まとめ:屋外防犯カメラの設置は近隣トラブルのリスク回避を
今回は屋外防犯カメラの向きによっては近所・近隣・隣人とトラブルが発生する可能性を解説し、それに伴う回避方法を紹介しました。ただし、実際のトラブルはケースバイケースとなり、近隣住民から理解を得ることが困難なまま平行線を辿ることも珍しくありません。特に近隣住民の相談先は警察となるので、企業の信頼も揺らいでしまいかねません。
防犯カメラの設置による苦情が来る前に、上記で紹介した回避方法を用いて運用するのが賢明な判断と言えそうです。