屋外防犯カメラのWiFiの距離は?選び方や長距離運用の方法
昨今企業が設置する屋外防犯カメラのほとんどはインターネットを活用したネットワークカメラとなります。ネットワークカメラを使用する際はWiFiを活用するのが通常となりますが、使用にあたってはWiFiの電波の距離などを考慮して適切な場所に設置して運用する必要があります。
そこで、ここではWiFiの距離や選び方、長距離運用の方法をまとめてご紹介します。
屋外防犯カメラをWiFiで繋ぐ。基本は有線で使用
企業が防犯カメラを屋外に設置する場合、通常は下記の配線を繋ぐ必要があります。
・防犯カメラ本体とレコーダー
・レコーダーとモニター
・ルーターとモニター
企業が導入する防犯カメラはアナログカメラとネットワークカメラの2種があります。アナログカメラはすべて有線で繋ぐことになりますが、昨今の防犯カメラは屋外・室内ともにインターネットを活用するネットワークカメラが主力として活躍しています。
初めて防犯カメラを導入する企業の中には、ネットワークカメラを導入すればすべてが無線接続できると考えている人もいますが、実際防犯機器の販売店は、無線ではなく有線接続を提案することがほとんどです。
有線も無線も工事費用はたいして変わらない場合も多い
防犯カメラは事故や事件といった重要な現場を捉えるために毎日運用するものとなります。無線はご存じの通り、時間や環境によって突然不安定になったり途切れたりすることが多く、防犯カメラの運用に支障が発生するリスクを孕んでいます。
また、防犯カメラに不具合が発生した際、無線と有線を比べると、有線の方が原因を突き止めやすいメリットもあります。
企業担当者の中には、防犯カメラを無線で接続することにより、工事費用の節約を考えている人もいます。確かに屋外防犯カメラの設置にあたっては、ポール柱を建てたり、壁に穴をあけたり、地中にケーブルを通したりと場合によっては大がかりな工事に発展することもあり、工事費用も馬鹿になりません。
しかし、ネットワークケーブルを無線接続しても、結局電源は有線で供給することになるので、工事費がそれほど変わることはないこともよくあります。
工事費用や内訳は会社の設置環境に大きく依存するため、具体的に知りたい場合は一度販売店に相談してみるのがいいでしょう。
屋外防犯カメラからレコーダーまではWiFi無線で約200m
室内カメラであれば本体の位置を調整できるためWiFi無線は比較的容易ですが、屋外防犯カメラは基本的に位置を大きくずらすことはできないですし、WiFiルーターから最低でも数百メートル離れるのが普通です。防犯カメラからレコーダー間を無線で飛ばしたい場合、距離はおよそ200mとなります。
注意点としては、一般的にレコーダーは室内の管理事務所に据え置くものとなり、防犯カメラは屋外に設置するため、最低でもドアと壁一枚を挟むことになります。例えばドアが分厚い鉄であったり、レコーダーのある管理事務所を地下に設置している場合は、著しく電波の距離が短くなります。
距離を延ばす方法!PoEハブを使えばWiFiで見通し300mの長距離運用も可能
一方で無線WiFiの電波の距離を延ばすこともできます。PoEハブ(PoE給電)と呼ばれる機器を使うことで、およそ300mの距離まで運用が可能となります。ハブを介して無線にする場合は、“見通し距離”となることを留意ください。
見通しとは「間に障害物が一切ない」状況下を指します。しかし、上述したように通常は最低でもドアや壁を一枚挟みますし、その他にも入り組んだ通路や障害物、ガラス窓なども電波を遮る原因となります。
屋外防犯カメラを無線WiFiで接続。電波の距離はどのくらい届く?
PoEハブは複数台設置することができますが、実際に電波が届くかどうかは試してみなければわかりません。また、距離を延ばすことに成功しても、運用していく上で環境が変わってしまうと気が付かないうちに電波が届かなくなってしまっていた、なんてことも起こりえます。
WiFi電波の実際の距離は20~50m
上記の通り、WiFiの距離はハブをかませて数百メートルの見通し距離に延ばすことができても、建物の鉄骨やコンクリートに遮断されるため、実際の距離は20~50mが現実的となります。
防犯カメラを動かせない場合はルーターやハブの位置を変えることで多少飛距離は改善できますが、運用レベルになるかは不明です。
LAN中継器を介すことでWiFiの飛距離を伸ばすことができる
場合によってはLAN中継器やアンテナを自社に立てることによって、WiFi電波の距離を大きく延ばすことが可能ですが、アンテナ工事をするとなると、かなり大がかりとなってしまい工事費も相当かかってしまいます。そのため、一般的にはPoEハブを使用してLANケーブルで繋ぐことを検討します。
防犯カメラをWiFiでワイヤレス運用したい場合の周辺環境
一方で屋外設置型の防犯カメラを無線WiFiで運用すべき場合は、下記で紹介する周辺環境となります。防犯カメラを有線か無線かの選択をする際は、必ず専門家に実地調査してもらい、専門かつ合理的な意見を仰いで決めるようにしてください。
LANケーブルを有線で繋ぐ配線工事ができない状況
一般的に有線ではなく無線で防犯カメラとレコーダーを接続する場合は、何かしらの事情により有線で繋ぐ配線工事ができない状況となります。
例えばケーブルを通す際に私有地や公道を跨いでしまう場合は有線による配線工事ができませんので、防犯カメラとの距離を考慮した上で無線WiFiを視野に入れて調査します。また、イベントや催事など数日間の短期間のみの設置では有線だと工事費ばかりがかかってしまいますので、その際も無線がおすすめとなります。
ルーターと防犯カメラの間に物理的な障害が将来にわたってない
社内の方針として防犯カメラを無線で運用したいのであれば、WiFiルーターと防犯カメラの間に物理的な障害がないことを条件としましょう。
「ドア・壁1枚の障害のみ」、「フロアを跨がない」といったことは基本前提となり、また、「防犯カメラの運用期間中は将来にわたって障害物がない」ことも大切です。
例えばゴルフ場のコースに防犯カメラを設置するのであれば、周りに障害物はありませんし、周辺環境は2年後、3年後も変わりないはずです。
防犯カメラを遠距離で使用したい場合はSIMカードを利用することも可能
今回紹介したように、無線WiFiの活用はカタログスペックでは200mほどの距離で運用できますが、これはあくまでも見通し距離となります。企業が屋外防犯カメラを設置する際は現実的とは言えず、通常は有線を念頭に導入の検討を進めることになります。
ただし、配線工事ができない状況かつ事務所から防犯カメラの設置場所まで数百メートル以上に及ぶ場合も実際は想定され、そのようなケースでは「SIMカード」の運用を視野に入れることで解決を図ることができます。
家庭用の小型防犯カメラではSIMカード対応の機種が多く出回っていますが、企業向けはまだそれほどの数はありませんので、機種の選定と最終的な導入の可否はよく社内で吟味が必要です。
ソーラーカメラを設置すれば完全ワイヤレスが可能
SIMカード内蔵型の防犯カメラを設置すれば、無線の距離に関する問題は大方解決することができます。しかし、電源ケーブルは有線であり、数百メートルも延長すると減衰してしまいます。
そこでおすすめとなるのが「ソーラーカメラ」です。ソーラーカメラは太陽光パネルを用いて自家発電が可能となり、発電した電気をバッテリーに蓄電することもできるので、長期的な運用ができます。
SIMカード内蔵のソーラーカメラを導入すれば、ネットワークと電源の両方をワイヤレスにすることができ、距離関係なく希望の環境下に設置することができます。
防犯カメラのWiFi距離は想像以上に短いかも。まずは有線で検討がおすすめ
今回は主に屋外に防犯カメラを設置する際のWiFiの距離について詳しく解説しました。販売店に問い合わせて実際にロケテストをしてみると、思いのほか電波が届かないことはよくあります。
そのため、防犯カメラを屋外に設置する際は、まずは有線ありきで検討し、無線はロケテストをしたのち、業務レベルで活用できるかをよく調査した上で導入するのがおすすめです。