工場・倉庫の異物混入は防犯カメラで対策を
工場や倉庫で入荷から製造、及び出庫の工程において、懸念される重大なリスクが「異物混入」の問題です。場合によっては流通している製品のすべての回収が義務付けられるほか、原因が解明されるまで出庫ができない事態に陥ることもあります。そのため、工場倉庫では、異物混入を未然に防ぎ、また事件が発覚したときは、速やかに解決への道筋を見つけられるよう、日ごろから適切な防犯対策を講じる必要があります。
そこで、ここでは工場倉庫の異物混入に対するおすすめの防犯対策をご紹介します。
工場の異物混入の事例
工場における異物混入は、食品製造工場において最大のリスクとも言えます。経口食品は人の健康や生命に直接影響を与えるため、髪の毛一本でも異物混入が発覚してしまうと、食品メーカーにとっては致命的な打撃を受けます。工場の異物混入では毛髪が最多となり、次点以降で衛生害虫、金属破片、煙草の欠片、つけ爪などが並びます。
食品製造工場の異物混入事件の難しさは、「異物混入が発覚した商品は売上が激減する」ことと、「異物混入の発覚後の対応が悪いと、消費者の購買意欲はほぼゼロにな、信用回復が難しい」ことが挙げられます。
また、人為的な異物混入事件としては、直近では「アクリフーズ農薬混入事件」が挙げられ、同社は翌年には他社に吸収合併され社名を変更することになります。
倉庫の異物混入の事例
倉庫における異物混入も決して少なくありません。「段ボールの底に虫の死骸があった」、「商品の箱を開けたら、カッターの刃があって指が切れた」といった異物混入事件が過去にあります。特に段ボールのような板紙を使用した梱包資材は虫がつきやすく、倉庫に積み込まれたときには既に付着している可能性もありますし、その都度全品検査をすることは現実的ではありません。
また、倉庫で働く従業員の中には、私服で勤務していたり、私語をしながら作業に当たることも多いため、「ボールペンを段ボールの中に入れっぱなしにしてしまった」、「梱包するときにつけ爪が剥がれ落ちてしまった」といった初歩的なヒューマンエラーも発生しやすくなります。
工場・倉庫の異物混入を完璧に防ぐことは困難
取り分け日本の大手食品メーカーは、異物混入に対してはセンシティブに考え、日ごろから高額な設備投資を工場や従業員に対して実施しています。しかし、それでも人が現場に立ち入る以上、異物混入を根絶することは困難です。
中小の工場や倉庫では、大手と同等の設備を揃えるのは不可能ですし、たとえ詳細なレギュレーションがあっても、1日単位の日雇いバイトや、期間限定の派遣社員が現場の多くを占めるため、社内ルールはなかなか行き届きませんし、人の目ですべてを管理しきれるものでもありません。
どこで異物混入したのかを調べるのは非常に難しい
工場や倉庫で異物混入が発覚すると、まずはどこの工程で異物が混入されたかを調査することになります。異物混入が疑われる、所謂“プロダクトゾーン”は工場面積の2割程度しかないと言われていますが、それでも防犯カメラにでも映っていない限り、明確に原因を掴むことは至難です。
侵入犯による異物混入の可能性もある
また、工場倉庫の異物混入は、必ずしも従業員が原因というわけではありません。工場や倉庫を出入りする関係者の可能性もありますし、まったく関係ない不審人物の侵入により異物混入される可能性も考慮しなければなりません。
防犯カメラの役割の十分な理解が必要
異物混入の原因を突き止める際には、まずは防犯カメラの録画映像をチェックします。しかし、防犯カメラの機能や性能を十分に理解していないと、下記のようなトラブルが発生します。
・レコーダーの容量不足により、確認した日時の録画映像が既に上書きされている
・防犯カメラの解像度が低いため、作業工程の映像が鮮明でない
・夜間に不審者が侵入してきたが、白黒のため顔が特定できない
いずれも古い防犯カメラを使い続けていることにより発生する弊害となります。防犯カメラの機能は日進月歩で、現在は夜間でもフルカラー映像を録画できますし、侵入者に光や音声を使って退散させる機能が備わったカメラもあります。
工場倉庫の異物混入は会社の存続の危機
異物混入は、たった1度の事件発覚で会社存続の危機に陥るほどリスクが高く、工場倉庫は日ごろから万全の危機管理対策が必要となります。従業員の行動や製造ラインを管理者が目で確認するだけではなく、1日複数回と防犯カメラの映像をチェックして、異物混入の有無を確かめる、といった監視体制の強化が求められるでしょう。