防犯カメラを設置する前に知るべき「法律」の注意点
防犯カメラの設置を計画する企業・団体は、まずは「法律」を知っておく必要があります。近年は個人情報保護法が強化されているため、法令違反にならないよう注意が必要です。
防犯カメラの設置を検討する企業・団体が増加中の背景
近年は「日本の安全神話の崩壊」とも叫ばれ、治安の悪化が懸念されています。人々のモラルの低下や外国人入国措置の緩和等により、これまで以上に企業・団体は防犯対策を強化する必要に迫られています。
特に昨今のデジタル社会では、膨大な機密情報や顧客情報をパソコン1台で管理することができます。たった一度の事務所荒らしの被害に遭っただけで損失は甚大となり、場合によっては会社の存続が危うくなることも珍しくありません。さらにSNSの発達により、企業・団体はこれまで以上に情報漏洩防止を徹底しなければ、あっという間に全国に拡散されてしまいます。
防犯カメラ設置で遵守する法律「個人情報保護法(プライバシー保護)」
企業・団体が防犯カメラを設置するにあたり、注視すべき法律が「個人情報保護法(プライバシー保護)」となります。個人情報保護法は2003年に成立し、不定期に改訂版が更新されています。個人情報保護の観点では先進国となるアメリカや西洋諸国に日本の法律も倣うため、近年で言えばEU一般データ保護規則(GDPR)の流れも日本国内でも徐々に汲むようになっています。
ただし、個人情報保護法(プライバシー保護)は膨大な通則に基づいて成立している一方で、まだまだ近年のIT社会の発展に追い付いていない節が見受けられ、度々訴訟問題に発展し、裁判にて判例・解釈が都度作られているのが現状です。
防犯カメラ設置の法律は市区町村(自治体)の条例にも注意が必要
防犯カメラ設置の法律は上述した個人情報保護法(プライバシー保護)に則って導入を進めることになりますが、それとは区別して自社が所在を置いている市区町村が定めている条例にも目を向けなければなりません。
ただし、市町村が定める条例の前提は法律の効果範囲内となりますので、個人情報保護法という大枠の法律を遵守しつつ、条例に気を配るといった考え方が良いでしょう。
また、条例の注意点としては「市区町村・地方公共団体によって条例が異なる」ことです。例えば東京本社、大阪支店にそれぞれ防犯カメラを設置した場合、東京本社では東京都の条例を、大阪支店では大阪府の条例を遵守することになるので、細かな運用の取り決めやルールは各支店ごとに書面に起こすのがおすすめです。
防犯カメラを設置する前に法律の基本ガイドラインを確認する
防犯カメラを設置するに当たり、上記では個人情報保護法の通則を紹介しましたが、ご覧いただくと分かる通り、膨大な資料となっており、日ごろから法令に触れている人でない限り深く理解することは困難です。
そこでおすすめするのが、個人情報保護法を簡単に説明したQ&A式のガイドラインです。
こちらも通則と同様に内閣府外局の個人情報保護委員会がネット上にあげています。120P以上にわたる膨大な情報量には変わりありませんが、幾分読みやすくなっていますので、自社で懸念している箇所のみでかまいませんので、企業法務の方は一度ご覧いただき、抜粋して社内で共有するのが良いでしょう。
企業・団体が陥る防犯カメラ設置の法律違反の問題「プライバシーの侵害」事例
全国の企業・団体が防犯カメラを設置・運用する上で陥りがちな法律違反の1つが「データの保持」に関する問題です。
防犯カメラの映像を録画しないのであれば問題ありませんが、映像を録画してさらに長期間保持するのであれば、そこに映る通行人のプライバシーに配慮が必要です。具体的には「防犯カメラ録画中」などの張り紙を防犯カメラの傍に貼っておく等が挙げられます。
また、近年の防犯カメラは機能性に富んでいて、AIで顔認証できる機能を有したカメラも増えてきました。顔認証は人間の目・鼻・口などの特徴を数値化して個人を識別する機能となり、犯人特定等に効果的ですが、ここまですると単なる映像ではなく、個人をはっきりと特定してしまうため、法律違反となる可能性が危惧されます。
マンション管理人が以外が公共の場所に防犯カメラを設置するのも法律違反
こちらの判例は、マンション居住者が公共の場所である通路に個人向けの防犯カメラを設置し、セキュリティ管理していた問題です。他の居住者が気味悪く思い、裁判にて防犯カメラの撤廃を申し入れました。
結果は防犯カメラの即時取り外し命令が下されました。具体的には、被告が防犯対策のために防犯カメラを設置することは構わないが、設置した場所はそれとは関係ない通路であり、カメラの映像には居住者の生活の様子が映し出されており、具体的な使用用途が不明。マンション管理人でもない一般の居住者がするべき範疇を超えている、というのが判決内容となります。
商店街管理組合の防犯カメラの設置と撮影における注意点
商店街管理組合で防犯カメラを設置する際は、多くのケースで自治体実施の補助金・助成金を活用することになります。地域住民の拠り所となる商店街に防犯カメラを設置する際は、条例違反にならないよう、補助金の要綱をよく調査することが大切です。
具体的には
・データの所有期間を定める
・管理事務所にモニターを設置しない
・防犯カメラを操作する人とデータを管理する人を決める
などが挙げられます。また、自治体によっては商店街だけに該当する単独条例を制定しているところもありますので、こちらも注意が必要です。
道路も可。企業でも目的に沿った防犯カメラの活用は法律上違法性はない
自治会や管理組合といった団体ではなく、一般企業や個人であっても「犯罪を未然に防ぐ」ことを目的とした防犯カメラの設置・活用であれば法律違反とはなりません。たとえば不審者の侵入を防ぐために事務所の門扉に防犯カメラを設置すると、どうしても道路が映ってしまい、通行人が映像に入り込んでしまいます。
上記事例に違法性はありませんが、地域住民から白い目で見られたり、クレームされたりと風評被害を受ける可能性があるため、防犯カメラ傍に「防犯カメラ作動中」といった標識・ステッカーは最低限貼っておくようにしましょう。
防犯カメラ設置時は機能・映像の運用方法を販売店と相談して
防犯カメラを購入するときは、運用する目的とカメラ機能をよく吟味するようにしてください。近年の防犯カメラは2年おきに新機能が開発されると言われているように非常に機能性に富んでいます。
しかし、多機能を使いこなそうとすると、本来の運用目的から逸れてしまうことが懸念され、「便利と思って使っていたけど、気づかないうち法律違反をしていた」なんていこともあるかもしれません。
日本防犯学校講師が運営する「防犯カメラナビ」だから法律を理解した設置が可能
そうならないためにも、まずは防犯カメラの販売店に運用目的を相談し、適材適所に最良の機種を提案してもらうようにしましょう。防犯カメラのような精密機械は安かろう悪かろうなので、単に価格で選んでしまうと、本来の目的を達成できない可能性があります。
当サイト「防犯カメラナビ」は、一般社団法人日本防犯学校が監修している防犯カメラ機器の総合販売店です。防犯対策と犯罪心理、各種関連法律を深く理解した防犯設備士の有資格者が担当するため、機種選定から運用方法までトータルでサポートさせていただきます。まずはご相談ください。