業務用PTZカメラ(パンチルトカメラ)とは?機能やメリット・注意点を解説
業務用防犯カメラとして「PTZカメラ(パンチルトカメラ)」が人気の1つに挙げられますが、PTZカメラとは何なのでしょうか?
今回はPTZカメラを企業が導入する上で知っておきたい機能やメリット、初めて設置する場合の注意点を詳しく解説します。
業務用で利用されるPTZカメラ(パンチルトカメラ)とは?特徴を紹介
業務用でしばしば導入されているPTZカメラとはどういったものでしょうか。PTZカメラは別名「パンチルトカメラ」とも呼ばれています。パン=左右に首振り、チルト=上下に首振りという意味で、さらにズーム機能も付いているのが一般的です。
PTZはカメラの種類でもありますが、それと同時に機能の名前でもあります。そのため、「バレット型やドーム型防犯カメラにPTZ機能が内蔵されている」とも言うことができます。
PTZを業務用で導入するべき企業とは?
PTZカメラ及び同機能を導入するべき企業・業種とはどういった会社が挙げられるのでしょうか。
PTZカメラは簡単に言えば「遠隔操作できる防犯カメラ」となります。そのため、1台で広範囲を映したい場合や、足を運べないためズームをして確認する必要がある場合があるシーンに適しています。
- 駐車場
- 海
- 自然公園
- ダム
- 工場・プラント
上記業種・場所はPTZカメラが非常に重宝します。例えば駐車場は入庫車両のナンバープレートを確認するためにズーム機能を有するPTZカメラが好都合です。
海やダム、河川といった自然エリアは遠くへ足を運ぶことができないケースが多いので、PTZ機能のパンチルトで探索することができます。
また、上記から分かるように、業務用でPTZカメラを使う場合は屋外が主となります。
PTZカメラは工場・倉庫・建築現場で活躍する
PTZカメラは工場・倉庫・建築現場などでより高い効果を発揮することができます。工場や倉庫ではベルトライン・在庫置き場の頭上にPTZカメラを設置することで、従業員の細かな手の動きや商品の内容・タグ・ナンバーなどを高い解像度で知ることができます。従業員の行動モニタリングにも使うことができるので、内部不正の阻止にも役立つことでしょう。
一方で建築現場のような危険な場所の随所に設置することで、従業員の業務内容を安全地帯から冷静に把握することができます。無線機やスピーカーを使うことで危険な場所にいる従業員に正確な指示を出すことも可能です。
マイク&スピーカー付PTZカメラもおすすめ
PTZカメラには指向性マイクが内蔵している機種もあります。ネットワークカメラであれば、ネット接続することによってスマホに映像を転送できるので、管理者が自宅や屋外、オフィスに居ながらスマホで現場の声を聴くこともできますし、スピーカーをカメラに設置することで現場に管理者の声を伝えることもできます。
PTZカメラは防水・防塵が必要不可欠。機種選定の基準に
PTZカメラを屋外で使用する場合は、防水・防塵機能が必要不可欠です。屋外でよく使われるバレット型は数多くの機種が出ているので、希望に合った予算内で高レベルの防水・防塵機種を見つけることができます。しかし、PTZカメラはPTZ型と呼ばれるドーム型に似た見た目のものが主流で、業務用ではそれほど多くの機種は出ていません。
そのため、防水・防塵は予算によっては妥協しがちとなりますが、最低でもIP66レベル以上を選ぶようにしてください。
PTZカメラはメリットだけじゃない。デメリットも覚えておく
PTZカメラは上記のように左右上下ズーム機能ができることがメリットとなります。場合によっては本来2台の設置が必要な場所でも、PTZ機能を活かすことで1台で賄える場合もあります。
しかし、PTZカメラにもメリットと同時にデメリットもあります。現在PTZの機能を検討している企業担当者は、デメリットをよく理解した上で購入するようにしてください。
レンズが動くため死角ができやすい
PTZカメラは首振りによって本体=レンズを動かします。そのため、左右上下に動かすことによって死角ができやすいのもデメリットとなります。
また、ズームには遠くの被写体を近くに映す「ズームイン」と拡大させる「ズームアウト」がありますが、ズームインをすると視角が狭くなるので、本来映るはずだった被写体が映像に映っていない、といったこともよくあります。
PTZ機能を使う場合は防犯カメラの操作をしっかりと理解している従業員が担当するとともに、運用方法や映す場所、平常時のカメラ位置などは細かくルールを作成しておくといいでしょう。
業務用のPTZ機能は価格が高くなる
PTZカメラ及びPTZ機能が付いている機種は、往々にして本体価格が高くなる傾向にあります。一般的な業務用モデルは10万~20万円前後となりますが、画素数や光学ズームなどにこだわったハイエンドモデルは100万円を超える機種も出回っています。
PTZカメラは確かにビデオカメラ感覚で操作できるため非常に便利で使い勝手もいいですが、そもそも業務上で使うにあたり、PTZ機能が必要かどうかはよく吟味した方が良いでしょう。
PTZ(パンチルトカメラ)カメラはネットワークカメラが便利
PTZカメラはネットワークカメラとアナログカメラの双方がありますが、おすすめはネットワークカメラとなります。ネットワークカメラはインターネット環境が必要となりますが、WiFiやSIMを利用して環境整備をすることで、パソコンやスマホに映像を転送したり、スマホから遠隔操作することもできるようになります。
ネットワークカメラにすれば管理室にレコーダーを置いたり大きなモニターを用意する必要がありません。スマホでどこからでも映像の確認や操作ができますし、録画映像をクラウドで管理すれば物理メモリも不要となるので非常に身軽に危機管理対策を実施することができます。
業務用PTZカメラは自動追尾機能搭載機種もある
業務用PTZカメラはパンチルト機能を活かした自動追尾機能を搭載している機種もあります。不審者や車両を検知後に機能が作動し、自動で動きを追って追尾することでレンズの視界から外れることを防ぎます。
ただし、自動追尾機能は完璧に映像内の人や車両を検知できるわけではありません。被写体が遠くて映像内に占めるサイズが小さい場合や、屋外で温度環境が大きく変化する場合、夜で映像が見えにくい時間帯では自動追尾機能の検知能力も下がります。
ただし、ある程度は設定方法で解決できるので、どうしても検知に対して問題が出るようなら、一度販売店の担当者に相談してみるのが良いでしょう。
まとめ:業務用PTZカメラを導入して危機管理対策の向上に繋げる
今回は業務用PTZカメラの概要や利用シーンを解説しました。PTZカメラは屋外導入に適しており、従業員のモニタリングや指示出し、危機管理対策、事件・事故の防犯対策に最適な機能となります。
ただし、価格が高く、また運用には吟味が必要です。PTZカメラを選ぶときは、設置する場所・目的・方法を明確にしなければなりません。まずは販売店に相談して、PTZ機能が本当に必要なのか、また最適な機種を提案してもらうようにするといいでしょう。