屋外の防犯カメラ「ソーラー(太陽光)」の選び方を徹底解説
近年需要が高まっている屋外防犯カメラで「ソーラー(太陽光)」式が挙げられます。太陽光パネルによって防犯カメラに使う電力を自給することができ、場合によっては工事不要で、本体を屋外に据え置くだけで使うことができます。長期間常時録画をするケースや、工場や農家、リゾート地など、不審人物の監視目的で常に人を常駐させることができない自然環境に恵まれたところで、ソーラー式の防犯カメラはより効果を発揮します。
そこで、ここではソーラー(太陽光パネル)式の防犯カメラを屋外に設置希望されている方に向けて、ソーラーカメラの基本概要や選び方、問題、導入方法を詳しく解説します。
屋外の防犯カメラ設置時に考えること
屋外に防犯カメラを設置する際は、まずは「電源の供給方法」を検討しなければなりません。供給元である建物から距離が離れていれば、それだけケーブルを長く引かなければなりません。会社の敷地内であればせいぜい数十メートルなので減衰もそれほど目立ちませんが、屋外工業ラインやリゾート地、自然公園などでは、事務所から百メートル以上離れることもあるため、大掛かりな工事と費用が発生します。
もちろんインターネットケーブルも同様に、接続ケーブルが長ければモニター映像に乱れなどが生じ、本来の目的である「監視」の役割を全うできなくなる恐れがあります。
工事不要の屋外防犯カメラはある?
上述したように、業種やビジネスシーンによっては、屋外に防犯カメラを設置する際は大掛かりの工事と費用が発生することがしばしばあります。また、接続ケーブルは動物などに齧られてしまったり、予期せぬトラブルで断線してしまうことも想定しなければなりません。地中に埋め込むこともできますが、やはり費用は相応にかさんでしまいます。
そこで、初期導入コストを抑えつつ、接続ケーブルのトラブルのリスクを最小限にするのが「太陽光ソーラー防犯カメラ」です。
屋外に設置する「防犯カメラのソーラー」は取り付けが簡単
ソーラー式の防犯カメラは、太陽光が差し込む場所であればどこでも取り付けることが可能となります。ソーラー式の防犯カメラの最大の特徴は「電源ケーブルの工事が不要」であることです。ソーラー式防犯カメラは本体と太陽光パネルがセットになっており、太陽光を電気に還元して電力を自給することができます。また、余剰電力は蓄電することができるため、仮に曇りの日が続いたとしても、数日間は稼働を続けることができます。
屋外ソーラー式防犯カメラはWi-Fiや3G/4Gが利用可能
ソーラー式防犯カメラは、日本においてもまだ発展途上の技術となりますが、昨今は種類も増えてきており、ソーラー技術以外にもネットワークに関しても技術革新が見受けられます。
最新の屋外ソーラー式防犯カメラであれば、カメラ本体にSIMカードが内蔵されており、Wi-Fiや3G/4G/5Gといった多様な通信システムを活用することができます。
特に4Gや今後主流になる5Gは、精密電子機器にも影響をほとんど与えない電波方式となるので、工業系でも重宝されることでしょう。
ソーラーカメラの屋外設置は「業務用」 が必須
ソーラーカメラも昨今は中小から大手メーカーまでラインナップを取り揃えてきており、個人でも家庭で使える安価なものも出回るようになりました。しかし、家庭用のソーラー式防犯カメラは、やはりビジネスシーンで使うことはできません。価格帯をみれば1~2万円と魅力的ですが、いずれも小型防犯カメラのため、画質が高くとも解像度が低いため、録画した画像をズームすると人を判別するには至らないことがほとんどです。
また、家庭用のソーラーカメラも太陽光パネルが付属していますが、サイズが小さいため蓄電能力が低く、結局バッテリーやACアダプターに頼ることにもなりかねません。ちなみにACアダプターのケーブルは2~3m程度となるので、ビジネスシーンでは使えません。その他にも、
- 常時録画ができない(スマホでアプリを作動している間だけ録画可能)
- 防犯カメラと太陽光パネルが軽量のため、暴風雨で飛ばされてしまう
- 防水や堅牢度が低い
- 配線工事ができない
といったデメリットがあります。安価なソーラーカメラはあくまでも家庭用であり、業務レベルで防犯カメラの屋外設置を検討している方は、必ず業務用を選ぶようにしましょう。
ソーラー式防犯カメラの使用用途~事例
ソーラー式防犯カメラはパイプライン、高速道路といった長距離に渡る監視網が必要な工事や、広大な敷地のリゾート地・自然公園といった場所でよく利用されますが、その他に下記のようなシーンでも活用することができます。
- 河川(氾濫や水位の確認)
- 山中の土砂崩れ危険地帯
- 海岸道路沿いの波監視地帯
- 倒木の危険のある道路
- 日当たりのいい屋外駐車場
- 中長期にわたる建設現場
- ゴルフ場
- 湖
- 不法投棄の多い現場
- 広大な敷地の自然公園
- ダム
ソーラー式防犯カメラを畑で使う事例が増加
昨今ではソーラー式防犯カメラを農場の畑で使う事例も多くなってきており、今後5年、10年後には農業のデジタル化に伴い、防犯カメラもソーラー式が広く普及することが予想されます。
畑で防犯カメラのソーラータイプを設置すれば、畑荒らしの犯人や動物の正体をカメラに収めることができます。畑を荒らす犯人は通常は夜間に犯行に出るため、フルカラーのソーラー式防犯カメラを設置することができれば、犯人検挙に大いに役に立つはずです。
また、最新のソーラー式防犯カメラでは、畑への侵入者に対して音や光で威嚇したり、事務所や自宅にいるこちらの音声を発信して撃退することもできます。その場合、人と車両、動物に対して自動検知能力の高いソーラー式防犯カメラの導入がおすすめです。
防犯カメラのソーラータイプの充電(運用時間)に関して
防犯カメラのソーラータイプは、原則AC電源をとらず、太陽光パネルによる蓄電で自給します。そのため、どうしても気になるのが充電及び運用できる時間です。蓄電できる容量やそれに伴う雨天時の運用時間はメーカーや機種によって異なりますが、通常のハイパフォーマンスは4~7日間くらいが平均となります。
ただし、最新のソーラータイプの防犯カメラには数種類のパフォーマンスモードが搭載しており、雨天時はエコモード(省エネ)に切り替えることによって、機種によっては1ヵ月以上運用できるものもあります。また、充電時間はどのソーラー式防犯カメラも1.5日から4日程度となります。
防犯カメラのソーラー(太陽光パネル)の寿命はどのくらい?
防犯カメラのソーラー(太陽光パネル)は、リース契約をすると償却期間は5~6年となります。これはソーラー式だけではなく、防犯カメラ全般の耐用年数となります。
また、充電の寿命は500サイクルが基準となりますが、これは太陽光パネルの蓄電寿命というよりは、内部に搭載されているリチウムイオンバッテリーの寿命と考えてください。500サイクルとはあくまでもフル充電(100の値)が500サイクルとなりますので、充電回数ではありません。
おすすめのソーラー式防犯カメラの条件
ソーラー式防犯カメラを選択する際は、どのような製品特徴・システム・機能に焦点を当てればいいのでしょうか。下記ではおすすめしたいソーラー式防犯カメラの条件をご紹介します。
ソーラー防犯カメラのおすすめの「録画」保存日数
ソーラー防犯カメラの録画は、本体にeMMCが搭載されている割合が多いです。HDDやSSDより保存領域は小さいですが、1~4日程度は録画が可能です。ソーラー式の防犯カメラは、通常はSDカードで保存するのが主流となります。128GB・256GBとあり、解像度を落とせば最長で30日間ほど常時録画が可能となります。
ただし、一般的にソーラー防犯カメラは、普段は人の気配がない屋外に設置し、エコモードで待機。人や車両等が視界に入ると、自動で録画モードに切り替わりますので、256GBあれば十分な記憶領域を確保していると言えるでしょう。
ソーラー式防犯カメラはクラウドとSDカードのどちらがおすすめ?
屋外で利用するソーラー式防犯カメラは、上述したようにSDカードに動画を保存するのが一般的ですが、一部機種はクラウド保存に対応しているものもあります。SDカードの場合は、一度SDカードを購入すればそれ以上の費用はかかりませんが、録画時間に限界があります。数週間に一度程度の割合で動画をチェックして、削除できるのであればSDカードがおすすめです。
一方でクラウドはソーラー式防犯カメラの販売店が管理しているケースが多く、販売店と月額の契約を交わす必要があります。月額料金は1000~3000円とそれほど高くはありませんが、録画日数によって基本料金が変動するので、ランニングコストとしては少し痛い面もあるかもしれません。
ソーラー式防犯カメラで録画した映像はスマホやモニターで確認できる
近年の防犯カメラは屋外・屋内カメラともにインターネットに接続するネットワークカメラ(IPカメラ)が主流になってきました。ソーラー式防犯カメラでも録画した映像をモニターやスマホで見ることができます。また、ネットワークカメラであれば、Wi-Fiで録画映像を受信することが可能のため、ワイヤレスでモニターを壁にかけて映像を確認することができます。
防犯カメラの屋外ソーラー式は赤外線とフルカラーどちらがおすすめ?
屋外ソーラー式防犯カメラは、夜間撮影にも適しています。夜間撮影時は自動的に赤外線モードとなりますので、手動での切り替えは必要ありません。
また、近年は赤外線技術が発達し、白黒だけではなく夜間でもフルカラーの映像録画ができる防犯カメラも増えてきました。
夜間のフルカラー映像は一昔前までは考えられなかった技術となります。従来の赤外線技術では、物体の色まで判別することはできませんでしたが、最新の赤外線ではより細分化された物体の情報を映像にすることができるようになりました。
ただし、草原や高速道路下、海外道路沿い、自然に覆われたエリアではフルカラーの恩恵をあまり得ることができないため、設置環境に応じて白黒かカラーか選択するようにしましょう。
防犯カメラの太陽光パネル(ソーラーシステム)の管理上の注意点
防犯カメラの蓄電源である太陽光パネル(ソーラーシステム)は、平時は屋外に野ざらしで据え置くため、定期的に管理が必要となります。
太陽光パネル(ソーラーシステム)は管理する上で、以下の被害・トラブルが懸念されます。
- 暴風雨で小石などがぶつかり傷がつく
- 暴風雨で太陽光パネルの向きが変わってしまう
- 鳥類のフンで汚れる
- 砂埃をが付着して汚れる
- 霜ができる(冬場)
- 埃が溜まる
いずれも屋外設置という性質柄、なかなか解決ができないものでもありますが、設置環境によって管理方法を変えれば大分改善することができるので、太陽光パネルの設置実績が豊富な防犯カメラ業者にお願いするようにしてください。
防犯カメラの「日本製」と「外国製」の違いとメリット&デメリット
ソーラー式の防犯カメラを購入する際、企業によっては「やっぱり日本製がいいよね」と考えたり、販売店から「値段は高いですが日本製が品質がよくおすすめです」と提案されることがよくあります。
しかし、防犯カメラ業界では「日本製」と「外国製」の境界線は限りなく薄く、日本製か否かに惑わされずに良質なソーラー式の防犯カメラを選ぶのがおすすめです。
防犯カメラのソーラー(太陽光パネル)の 価格
防犯カメラのソーラータイプ(本体+太陽光パネル)の価格帯は1台10万円~が平均となります。5万円未満で購入できる個人(家庭)向けは業務用ではありませんので、購入時は注意してください。
また、ソーラー(太陽光パネル)式防犯カメラはメーカーや機種によってスペックの差も大きいので、価格と機能・仕様のバランスのいい防犯カメラを選んでください。
ソーラー(太陽光)防犯カメラの価格と機種のおすすめの選び方
ソーラーカメラを購入するにあたっては、販売店に問い合わせをする前に、機種の選び方やおおよその価格は事前に知っておくのがいいでしょう。
販売店によってソーラーカメラの取り扱いメーカーは異なりますが、重要視すべきは機能や性能、販売店のサポート体制となります。くれぐれも価格だけで選ばないようにしてください。
屋外防犯カメラのソーラー式の選び方
屋外に据え置くソーラー式の防犯カメラは、価格や機能以外にも選ぶポイントがあります。
昨今はインターネットであらゆるメーカーの製品を調べることができるので、安かろう悪かろうに惑わされず、本当に設置環境に適したソーラー式防犯カメラを探してください。
防犯カメラのソーラー式の購入は「ランキング・口コミ」の上位がおすすめ
屋外で使うソーラー式の防犯カメラを探す際は、ネットのまとめサイトや通販サイト、販売店の製品ページなどを確認することでしょう。その際は「ランキング」や「口コミ」を注視してみるのも優良の防犯カメラを探すコツとなります。
屋外防犯カメラはソーラー式がおすすめ!まずは業者に相談して
屋外の防犯カメラを探している企業担当者は、一度ソーラー式防犯カメラを検討してみてはいかがでしょうか。ただし、ソーラー式防犯カメラは実地調査が必ず必要となりますので、販売先の専門家の調査の下、本当にソーラー式が適しているのか、また設置環境から求められるスペック等を相談してみるといいでしょう。