自治体・自治会が防犯カメラを電柱に設置する方法
自治体や自治会が地域の安全のために防犯カメラを電柱に設置することもよくあります。
しかし、想像している通り、電柱は公道に建っていることが多く、また電柱にも所有者が存在します。地方公共団体(自治体)であっても正式な手順は踏まなければなりませんし、予算取りも必要です。
そこで、ここでは自治体や自治会(町内会や商店街など)が電柱に防犯カメラを設置する方法を詳しく解説します。
自治体・自治会が防犯対策のために電柱に防犯カメラを設置する例が増えている
昨今は地方公共団体・自治体や商店街管理組合を中心に電柱に防犯カメラを設置し、地域の安全性の向上に努める市区町村も増えてきました。
自治体や自治会(町内会等)は住宅街や学校周辺などの電柱に防犯カメラを設置し、組合は商店街一帯を監視する目的で電柱にカメラを装着します。
近年は犯罪の凶悪化が目立ち、また外国人犯罪も多発しています。一昔前には見られなかった事件も増えてきており、犯罪が多様化している印象を強く受けます。
電柱に防犯カメラを設置。まずは地域住民に理解を
電柱に防犯カメラを設置する場合は、たとえ地域の安全のためとはいえ、突然町中の電柱に設置してしまうと、そこに暮らす地域住民の中には不快な気持ちになる人も少なくありません。
例え自治体や自治会・組合であっても電柱に防犯カメラを設置して一般住宅及びそこに暮らす人々を映像に映す際は、説明会を開いたり回覧板で告知するなど一定の理解を求める努力をすることが大切です。
また、電柱に設置した防犯カメラの傍には「防犯カメラ作動中」、「24時間警戒中」といったカードを提げたり張り紙をしておくと、地域住民に暗黙の了解を得られるとともに、不審人物に対しても無言の威嚇をすることができます。
自治会・町内会・商店街でも電柱に防犯カメラの設置は可能。一般の企業は不可
まず覚えておきたいのは、「電柱には所有者がいる」ということです。所有者は主に「私有地の土地オーナー・電力会社・電話会社」のいずれかとなります。
そのため、電柱に防犯カメラを設置する際は、まずは電柱の所有者・管理している会社に連絡して、許可を得る必要があります。
電柱を主に管理している電力会社と電話会社には、いずれも電柱に防犯カメラを設置する際の規定があります。料金や諸条件は会社ホームページを見ても確認できますし、問い合わせでも対応してくれます。
条件は各会社によって異なるものの、一般的には電柱に防犯カメラの設置を許可されるのは自治体・自治会(町内会)・商店街管理組合となり、一般の企業がセキュリティ対策のための設置を認めるところはあまり見かけません。
また、ところによっては自治会(町内会)や商店街管理組合の設置も認めていないところもありますので、その場合は自治体に設置の依頼を検討してみるといいでしょう。
自治体・自治会が電柱に防犯カメラを設置する方法・手順
自治体・自治会が電柱に防犯カメラを設置する際は、下記の流れ・手順に沿って行います。
- 防犯カメラを設置したい電柱を管理している電力・電話会社に問い合わせをする
- 電力・電話会社の提示する諸条件に合致することを確認し、必要書類を提出する
- 正式に許可を下りたら速やかに着工
- 防犯カメラを設置後は速やかに報告
上記の内手間がかかるのが2の必要書類の収集です。まず、必ず求められるのが電柱が建つ土地所有者の同意書です。これを得ることができなければ電柱に防犯カメラを設置することはできないので、最優先事項となります。
その他にも下記書類が必要となります。
- 申込書
- 物件明細書
- 見取り図
- 道路占用許可書
- 工事書類(保守管理に関する書類)
また、取り付けにあたっては立ち合いが必要だったりするので、詳しくは窓口に電話して質問してみるといいでしょう。
電柱に防犯カメラを設置するときにかかる費用とは
まず、防犯カメラを電柱に設置する際には、
- 防犯カメラの本体費用
- 保守メンテナンス費用(販売店と契約)
- 取り付け&設置工事費用
- 添架料金(電柱に設置する手数料)
となります。添架料金は年額で数千円なのでそれほど高くはありません。
補助金も併せて申し込む場合は事前にできるだけ準備しておく
自治会、管理組合が防犯カメラを設置する場合は、国や自治体が実施している補助金・助成金制度を利用することができます。昨今は犯罪の多発から防犯対策に対してはある程度まとまった予算が下りているので、補助率や補助額も納得のいくものとなっています。特に商店街管理組合が持てる年度予算は地域格差が大きいため、防犯カメラの必要性が分かっていてもなかなか手が出せない、というところも少なくありません。補助金はできるだけ活用するのが良いでしょう。
ただし、補助金活用して電柱に防犯カメラの設置を考える場合、提出しなければならない書類は多岐にわたるほか、短期間で補助金の交付と電力・電話会社・カメラ販売店との打ち合わせから着工・竣工・報告まで終えなければなりません。そのため、できるだけ早い段階で必要書類の準備にとりかかってください。
電柱に設置する防犯カメラの種類
電柱に設置する防犯カメラの種類(形状など)は特に決められてはいません。ただし、設置方法については「槍出しアーム取付」が基本となります。
防犯カメラの種類に関しては、ボックス型の「バレット型」、球状の「ドーム型」が主となりますが、広い範囲を映すことが多いため、360度全方位カメラなど画角が広いドーム型が採用されるケースが多いです。
防犯カメラの種類・機種を決める際は、必要な画角(撮影範囲)だけではなく、夜間撮影を考慮した赤外線の照射距離や防水・防塵レベル、録画方法なども総合的に鑑みて判断してください。
電柱に設置する防犯カメラのおすすめ録画方法と保存期間
電柱に防犯カメラを設置する場合、必要な工事は「インターネット環境の構築」と「配線工事」、「本体の取り付け工事」となります。
ネット環境の構築は通常WiFiを利用しますが、難しい場合はSIMカード内蔵の防犯カメラを選ぶことでネット環境の構築は不要とすることができます。
ただソーラーカメラを利用しない限り、電力を供給する配線工事は必要となるので注意してください。
また、本体の取り付けに関しては販売店に依頼しますが、設置費用に追加して高所費用がかかるのも普通です。さらに、警備員の立ち会いも必要となります。
防犯カメラの録画データの保存期間と管理方法
防犯カメラの映像をリアルタイムで視聴するためにはモニターが必要となります。ネットワークカメラであればパソコンやスマホに映像を転送して視聴することもできます。ただし、電柱に設置した防犯カメラの映像は行き交う人々の顔まで特定できる個人情報が詰まったデータとなるので、安易にモニターを設置したりスマホで見ることは許されません。
事件・事故が発生した際や警察から任意提出を求められた際にデータを提供するようにして、それ以外のときは安易に映像は見ないようにルールを作成してください。
また、録画データはSDカードやレコーダー(HDD)、クラウドに保存することができます。レコーダーを設置する場合は監視室が必要となるのでできればSDカードかクラウドを選択するのがおすすめです。
注意点としては、SDカードは防犯カメラ本体に内蔵されます。普段の映像を見る際はパソコンやモニターに転送することができますが、SDカードが不具合を起こしたり、買い替えをする際は、業者を呼んで差し替えてもらう必要があります。
防犯カメラの録画データの保存期間は1ヵ月前後あるのが理想です。容量オーバーすると古いデータから上書きされるので、保存期間に則した容量のメモリーを用意する必要があります。
まとめ:電柱に防犯カメラを設置する際は販売店に相談を
電柱に防犯カメラを設置する場合は、電力・電話会社や所有者、自治体担当者との折衝が不可欠ですし、補助金を申請するのであればさらに手順は複雑化します。
そのため、まずは防犯カメラの販売店に問い合わせて現状を相談してみてください。防犯カメラの設置には必ず販売店が絡まなければならないので、できるだけ早い段階で業者を選定して、電力・電話会社の間に立ってもらいましょう。また補助金申請の書類作成も手伝ってくれる販売店を選ぶとより迅速に設置を成功させることができるでしょう。