学校に設置する防犯カメラの費用や導入方法を詳しく解説
私立・公立の学校も不審者対応や子供の保護を目的とした防犯カメラの設置が常識となりました。ここでは学校における防犯カメラの設置費用や導入のポイントと注意点を解説します。
学校の防犯カメラの目的は「不審者対応」と「生徒保護」
学校も近年は私立公立問わず防犯カメラの導入に積極的な姿勢を見せています。一昔前まではプライバシーの配慮から学校への防犯カメラの導入は躊躇われていましたが、昨今は不審人物の校庭侵入や子供を狙った犯罪事件の増加の観点から、防犯カメラの導入が学校の責務となっています。
学校における防犯カメラを導入する大きな目的は「不審者への対応」と「生徒の保護」にあります。
OBを含む不審人物への迅速な対応が必要
本来ならば私立公立問わず、警備員の常駐が望ましいのですが、費用面でそれが難しい場合は防犯カメラが最大の防犯対策となります。
学校ではOB(卒業生)がよく無断で校庭や校舎に入るケースが散見されますが、実はこれも本来は好ましくはありません。警備員不在時に入館証を持たない人物が校庭に踏み入れることは極力避けるべきであり、不審人物が生徒を視界に入れる前に校長や教員が不審者の入場を食い止めなければなりません。
小学校では保護者のクレーム対応にも有効
小学校や中学校といった義務教育までは、学校や教師の方針・意見に保護者は非常に敏感です。子供が遊んでいる最中に怪我をした場合は保護者が乗り込んできますし、場合によっては教育委員会に直訴される事態に発展することもあります。
最新の防犯カメラはスピーカーやマイクが内蔵している機種もあり、非常に多機能に富んでいます。生徒単独・生徒同士・生徒と教員間で何かしら問題が発生した際は、防犯カメラを活用することによって証拠映像を確認できますし、音声まで録音することもでき、保護者が真実を知ることができます。
防犯カメラは学校運営におけるリスクヘッジの機材としても非常に重宝するはずです。
私立・公立学校の防犯カメラは誰が見る?
ここ10年で防犯カメラの普及率は上がっているものの、現状は私立・公立の一部学校しか導入されていません。防犯カメラを導入するにあたっては、「カメラの映像は誰が見るのか?」を明確にすることが必要で、場合によっては不信感を抱く生徒や保護者に説明しなければなりません。
防犯カメラの映像は、守衛室があれば警備員が確認・管理します。一方で警備員がいない場合は、校長や教頭といった学校運営を任されている管理職が確認します。しかし、実際に不審人物が発生した場合はリアルタイムの映像を教員全員が共有する必要があることも覚えておきましょう。
また、「防犯カメラの映像は何日間保存しておくべきか?」という質問も多いですが、学校の場合は2週間から1ヵ月程度保存しておくといいでしょう。問題やトラブルの内容によってはある程度時間が経たないと発生しないものもあるため、理想は1ヵ月程度の保存です。また、警察から任意提出を求められた際にすぐに該当日時の映像を提出できるように、防犯カメラを操作できる人物は複数名決めておくのも大切です。
防犯カメラは学校の教室に設置?どこにある?
防犯カメラを設置するにあたって、「学校のどこに設置するべきか?」という問題も悩ましいです。教室に設置すべきか否か、廊下、校庭、体育館など、学校は面積が大きいためすべての箇所に設置すると、費用も大変です。
一般的に学校で必ず設置すべき場所は、「職員室・校長室」、「下駄箱」、「校庭の遊具の死角」、「校舎裏で目が届きにくいエリア」、「門前と囲障」となります。
不審人物を下駄箱の玄関口や門前で侵入を阻むことを前提に設置運用すれば、廊下や教室への設置は不要と考えられます。
学校における防犯カメラの設置費用を解説
学校が防犯カメラを設置する際にかかる費用は、「防犯カメラの本体」、「モニターやレコーダーの周辺機器」、「取付部品費用」、「ケーブル工事費用」となります。
また昨今はインターネットを介するネットワークカメラが主流となり、スマホやタブレット端末にも映像をおくることができたり、クラウドストレージに映像を保管することが可能です。こちらを利用する場合はインターネットのLAN工事も必要となるため、別途ネット環境の構築をしなければなりません。
上記を鑑みたとき、防犯カメラの導入費用は本体+工事費で1台8万円~15万円程度と考えておくといいでしょう。10台設置するとしたら、単純計算で80~150万円となりますが、台数が多ければ販売業者も割引してくれるので、実際は100万円前後で収まるはずです。ただし設置場所が高所であったり、電源が取りづらい場合は工事費用と取り付け費用がかさむことになります。
学校が防犯カメラの設置費用を抑えるポイント
続いては学校が防犯カメラの導入にあたり、設置費用を抑えるポイントを解説します。近年は少子化が進み、私立学校でも防犯対策にかける予算が減少しており、また、地域格差も広がっています。
防犯カメラの本来の目的を損なうことなく設置費用を抑えるコツは必ず覚えておいてください。
機能を制限して防犯カメラの費用を抑える
例えばスマホやタブレット端末への映像視聴機能は不要であったり、クラウド録画をレコーダーにするだけでも年間の維持費で数万円単位で節約することができます。また、最新の防犯カメラは高画素で夜でもフルカラー映像が可能となりますが、夜は生徒もいないため、必ずしも夜間撮影機能は必要ではありません。
また、機密情報や財産を保管している職員室と校長室は最新で高機能の機種がおすすめですが、それ以外の場所ではオーバースペックになりがちです。設置場所によって機種を変更するのも設置費用を抑えるコツです。
防犯カメラの設置台数を見直す
学校のような広く、部屋や死角が多い場所では、自然と防犯カメラの設置台数も増えてしまいがちです。しかし、防犯カメラの設置台数を増やしてしまうと、本体と工事費用だけではなく、運用してからの維持費も比例します。
防犯カメラの目的は上述したように不審人物の侵入阻止と生徒のトラブル防止となるので、その目的以外の設置は不要と考えるべきです。
ただし、素人考えで設置の可否を判断するのは危険なので、実際に必要な防犯カメラの設置台数は、購入先となる販売店に在籍している「防犯設備士」の有資格者に提案してもらうといいでしょう。
費用面を鑑みた学校の防犯カメラ導入方法
上記では学校が防犯カメラの導入費用を節約するポイントを解説しましたが、下記では導入・購入方法を紹介します。通常は一括払いでの購入となりますが、防犯カメラのような初期費用が高くつく場合は、リース契約やレンタル契約などを販売店が用意しています。
ただし、いずれの購入方法もメリットデメリットがあるので、導入を担当する方はよく吟味が必要です。
一括購入は費用対効果が高い。補助金制度を利用できる
後述するリース契約やレンタル契約は一括購入と比べると利息や手数料の分割高となります。そのため最安値で購入したいのであれば、一括購入がおすすめです。また、一括購入の場合は補助金制度の活用も可能となります。
補助金は政府や自治体が実施していて、商店街や公道への設置に対して交付されるケースが大半ですが、学校のような地域に密着した施設であれば、私立・公立ともに交付される可能性があります。まずは最寄りの市区町村の窓口で相談してみるといいでしょう。ホームページでは募集していなくとも、初回の設置であれば、自治体の予算で出してくれる可能性もあります。
リース契約とレンタル契約のメリットとデメリット
リース契約とレンタル契約はいずれも毎月支払う契約となります。購入ではないため学校側の資産とはならず、リース契約はリース会社、レンタル契約は販売店がそれぞれ保有者となります。損金処理できるので毎月の支払いを経費計上できるのが特徴ですが、一括購入と比べると総支払額は多くなります。
また、レンタル契約はレンタル料金だけではなく、設置費用と撤去費用、保守メンテナンス費用も別途かかることがあります。料金体系は販売店毎に異なるので、相見積もりをとるなどして優良な販売業者を見つけるといいでしょう。
学校は費用を節約するために家電量販店や電気屋で勝手は絶対に駄目
これから防犯カメラの導入を計画している学校の中には、費用の節約のために家電量販店や贔屓にしている電気屋に導入の相談をするところもあるようです。しかし、家電量販店では工事ができませんし、量販店で購入した防犯カメラは専門店に持ち込んでも工事はしてくれません。
電気屋では防犯カメラの購入と同軸ケーブルの配線工事はできるかもしれませんが、ネットワークカメラのLAN工事はできないのが普通です。
また、量販店やネット通販で購入した防犯カメラは、上述した補助金制度を使用できません。
そのため、防犯カメラは必ず防犯カメラの専門店、もしくはセキュリティ機器の販売店で購入し、設置工事も併せて契約するようにしましょう。
まとめ:遅れがちな学校の防犯カメラ導入。何かあってからでは遅い
今回は防犯カメラを学校に導入する際の費用回りのポイントをご紹介しました。全国の多くの学校で年度予算内で防犯カメラを導入するのは難しい現状もあるようですが、補助金制度やリース契約などを用いることで費用を極力抑えることができます。
事件や事故は突然発生するものであり、多くの場合で不可避の者となります。そのため、事件・事故を未然に防ぎ、被害を最小限に抑えるために、学校における防犯カメラの導入は必須とります。
まずは防犯カメラの販売店に相談してみてください。防犯設備士の有資格者が担当となって、費用面を鑑みた最適な機種を提案してくれるはずです。