病院に嫌がらせをするクレーマーは日ごろの防犯対策で解決!
病院には毎日大勢の来院客が訪れ、医師や看護師、事務職員は、日々患者の対応に追われています。患者の中には病院への不満をぶつける人もいますが、正当なクレームであればまだしも、嫌がらせのようなクレーマーに遭遇することもあります。
病院や医師に対して嫌がらせをするようなクレーマーは、対応をするだけで心身が疲弊してしまいますが、場合によっては暴力を受けることもあれば、訴訟を起こされて裁判に発展する事例もあります。
そこで、ここでは病院に嫌がらせをするクレーマーから医師や看護師を守るための方法と、効果的な防犯対策をご紹介します。
病院の医師の75%以上が悪質なクレーマーを体験
日経メディカルの会員医師を対象としたアンケート調査によると、実に76.9%の医師が過去に悪質なクレーマーに嫌がらせを受けたと回答し、さらに12%の医師は、患者や親族から暴力を振るわれた経験があるという結果でした。
病院の中では、患者に直接治療を施す医師と看護師が嫌がらせを受けるクレームの対象となることが多く、一方で受付・事務職員に対するクレームは、「待ち時間が長い」、「料金がいつもと違う」、「薬の説明が十分にされていない」といった内容が主となります。受付へのクレームは、事務職員の言葉遣いや対応が重要となります。
病院に嫌がらせをするクレーマーの心理
病院に嫌がらせをするクレーマーは、「機能・品質欲求」、「経済的欲求」、「愛情欲求」、「尊厳欲求」を満たすために他者に強く訴えようとします。
「医者だからこのくらいできて当たり前」
「お金を払っているんだから、満足する結果を求めて当然」
このように病院や医者へ当初抱いていた期待が裏切られたときに、クレーマーは悪質な嫌がらせ行為に及びます。しかし、患者が求めている期待や結果は、病院の提供するサービスや医療設備、患者の病状によって大きく異なります。そのため、病院や医師の立場からすると、「患者がなぜこれほどに不満に感じているのか分からない」ことが問題となります。
病院に嫌がらせをするクレーマーの悪質化
また、日本では昨今嫌がらせをするクレーマーの悪質化が問題視されており、「病院内で大声で怒鳴りつける」、「暴力を振るう」、「訴訟問題を起こす」といったトラブルがしばしば発生しています。
こういった患者は、病院内で体験する不満や気に入らない点はすべて「医療事故」と認識する傾向にあります。また、自分の不満を部外者に知ってもらうために「裁判をする」、「マスコミに訴える」、「週刊誌に情報を流す」、「SNSに投稿する」といった方法をとることができるため、より強く自分の欲求を訴えてきます。このような形で世間に知れ渡った場合は、事実と異なり大きく偏向されてしまいますので、病院側としては早急な対応と解決を図る必要があります。
医師がクレーマーから嫌がらせを受けた実例
先日診察をした患者が突然病院に怒鳴りつけて、「処方された薬を3日間飲んだが全然治らない!」と医師にクレーム。しかし、医師側は処方する際に7日間服用することを告げており、また、人によって回復の度合いは異なることも説明していた。しかし、患者は「聞いていない」、「治らないのは処方が間違っているからだ」、「お前はヤブ医者だ」、「慰謝料を請求してやる」と徐々に言動が悪質化。患者はそれからも数日間連続で病院へ訪れ、同じように医師に怒鳴りつけた。
このような状況に陥ると、心配となるのは医師の精神状態です。病院側はクレーマーから医師や看護師を守るため、想定される嫌がらせに対してレギュレーションを作っておく必要があります。また、どの程度の嫌がらせが続けば警察に連絡をするのか、あるいは病院がクレーマーに訴訟を起こすのかも決めておかなければならないでしょう。
病院は嫌がらせ防止のため防犯カメラの役割を再度認識する
本来、病院における防犯カメラは不審者の侵入を阻み、内部の不正行為を監視する役割があります。また、昨今は防犯カメラの性能や付加機能も優秀になり、病院におけるあらゆるセキュリティリスクを解決することができるようになりました。
嫌がらせのようなクレーマーに対しては、映像の録画だけではなく、現場の会話のやり取りを録音できるカメラの設置が推奨されますが、病院の多くは防犯カメラの正しい使い方や最新の防犯対策事情を知りません。そのため、嫌がらせをするクレーマーの抑止、及び嫌がらせを受けたときに、しっかりと映像や会話を記録できる防犯対策を院内に設置することが病院に求められています。