百貨店・デパートの防犯対策・防犯カメラの導入事例と正しい運用方法
百貨店・デパートでは防犯対策が重要です。盗難被害により経営不安に陥る店舗施設も少なくありません。そこで、ここでは百貨店やデパートの防犯カメラの導入事例と正しい運用方法を紹介します。
百貨店・デパートにおける毎年の盗難被害額は最低4600億円
百貨店・デパートでは盗難被害の防犯対策を講じる必要があります。1件の被害額は少額であっても、実は日本全国で1日12億円以上の被害が発生しており、年間の盗難被害額は最低でも4600億円と推定されています。また、これはあくまでも警察や店舗が認知している件数(額)となるので、実際はこの数倍から10倍は多いのではないかとも言われています。
百貨店・デパートは万引きの犯行場所3位
日本全国において、万引きの犯行現場に選ばれる業種は1位がスーパーマーケット、2位コンビニ、3位が百貨店・デパートとなります。
しかし、スーパーマーケットやコンビニは犯罪件数は多いものの、子供・学生の窃盗が多く1件当たりの被害額は少ないのが特徴です。
一方で百貨店やデパートは、施設内のテナントとして営業している家電量販店やアパレル店などが狙われる対象となり、比較的高単価の商品が狙われる傾向にあります。
百貨店・デパートの一般的な防犯対策とは?
百貨店・デパートが取り組んでいる一般的な防犯対策に「防犯ネット・防犯カーテン」がありますが、こちらはあくまでも閉店後の対策であり、防犯効果はそれほど高くはありません。
営業中の防犯対策としては「警備員の巡回・防犯カメラの作動」などが挙げられますが、小規模百貨店・デパートの場合、あまり防犯対策の知識がない人が取り付けたためか、正しい防犯カメラの設置ではないところも見受けられます。
百貨店に忍び込み高額な物品の窃盗を試みる侵入者はその道のプロなので、当然防犯カメラの機種や設置状況も見ただけで理解できます。「うちは予算がないからほとんどがダミーカメラ」という百貨店もありますが、プロの窃盗犯から見るとバレバレです。
百貨店・デパートにおける防犯カメラの役割・目的
百貨店・デパートを見てみると、防犯カメラの台数が圧倒的に少なかったり、よく考えずに設置しているため死角が多数発生しているケースが散見されます。
そういった百貨店・デパートの店舗担当者の多くは「防犯カメラを設置しても犯人はなかなか捕まらないから」と諦めている様子がうかがえます。
しかし、防犯カメラはそもそも「犯罪を未然に防ぐ」ための防犯対策であり、百貨店・デパートにおいては「盗難やその他の事件・事故を防ぐ」ための施策となります。
防犯カメラの設置が最も予算を抑えることができる
中規模以上の百貨店・デパートであれば警備会社に防犯対策を委託しているので、自社での管理は必要最低限で済みます。また、警備員の巡回や万引きGメンの配備などもよく見られる防犯対策ではありますが、費用が継続的にかかってしまうため、小規模の百貨店・デパートだと予算上難しいケースもあります。また、万引きGメンは犯行後に捕まえる必要があるため、犯行を未然に防ぐことはできないほか、あくまでも万引きのみの対策となります。
一方で防犯カメラを適材適所に設置することにより、事件後の早期解決はもちろん、犯人が防犯カメラに脅威を感じ、犯行をやめさせる効果が期待できます。
防犯カメラで防げる犯罪リスク。百貨店・デパートは万引き・盗難だけではない。
百貨店・デパートの管理者は第一に万引き・窃盗の防犯対策を講じなければなりません。百貨店・デパートを狙った窃盗犯は1日で複数の店舗で犯行します。盗難リスクの高い百貨店・デパートで営業をしたい店舗オーナーはいないので、テナント離れに繋がります。
一方で防犯カメラを適切に設置することによって、万引き・盗難以外でも以下の犯罪リスクを軽減することができます。
1.放火
百貨店・デパートは建物の外周は比較的死角が多いため、放火犯に狙われるケースもあります。一目のつかない場所にも関わらず防犯カメラを設置していないと、犯人はじっくりと時間をかけて放火することができるので、非常に危険です。
2.車上荒らし
百貨店・デパートの駐車場は立体駐車場や屋外問わず百台以上収容できる大規模なところが多いので、それだけ死角が発生しますし、1台2台の防犯カメラで賄うのも困難です。
近年の車上荒らしは組織化されており、1日で数十台規模の車が被害を受けることもあります。
3.従業員による内部不正
店舗従業員における内部不正は防犯カメラをレジ上に設置することで対策を講じることができます。ただし、従業員も防犯カメラの存在は知っているため、店舗内の死角で犯行に及ぶ可能性も十分考えられます。そのため、防犯カメラを上下左右に動かせるPTZカメラや、監視室や自宅から音声で従業員に威嚇できるネットワークカメラを選ぶのがおすすめです。
百貨店・デパートはネットワークカメラを選ぶのがおすすめ
防犯カメラはアナログカメラとネットワークカメラがあります。防犯対策に疎い担当者だと「アナログカメラの方が安いから」という理由でアナログを選んでしまいがちです。しかし、昨今多様化する犯罪に対応できるのはネットワークカメラとなります。また、近年はネットワークカメラが普及して価格も大分下がっていますので、リース契約やレンタルなどを駆使すれば比較的安価に導入することができるはずです。
ネットワークカメラなら監視・管理も容易
ネットワークカメラはインターネットに接続して無線で映像を転送できるのが特徴です。モニターや録画レコーダーを設置する必要はなく、スマホやパソコン、タブレット端末から視聴・操作できます。
また、管理方法に関しても録画映像をクラウドに保存することによって、HDDやSDカードのような物理メモリは不要となり、オンライン上でいつでもどこでも映像を確認することができます。
百貨店・デパート内で防犯カメラを設置してはいけない場所
百貨店・デパート内であっても、「トイレ・ドレッシングルーム(試着室)・その他利用客のプライベートとなる部屋」に防犯カメラを設置することは禁止されています。これらに防犯カメラを設置してしまうと、利用客から損害賠償請求される可能性があるので注意してください。
一方で従業員の事務所に防犯カメラを設置して仕事を監視することは、法律上も許されています。
テナントは防犯カメラの映像を確認できる?
防犯カメラは原則百貨店・デパートの管理下にあるべきですが、テナント側から「防犯カメラの映像を確認したい」という要望があった場合はどうするべきでしょうか。
基本的に万引き・盗難や従業員の不正行為といった事件性がない限り、闇雲に防犯カメラの映像を見せてはいけません。防犯カメラには利用者の顔が鮮明に映っているので、個人情報の塊となります。そのため、防犯カメラをテナントが店主が確認できる条件というのは、防犯カメラを設置した際にルールとして書面で決めておく必要があります。
また、百貨店・デパートの身内であっても、防犯担当者以外は録画映像の確認を許してはいけません。
まとめ:百貨店・デパートの防犯対策は防犯カメラの導入からはじめよう
今回は百貨店・デパートの防犯対策と防犯カメラの運用メリット・注意点を解説しました。百貨店・デパートが防犯カメラを設置する場合は広範囲をカバーしなければならないため、設置台数が多く工事も高額になりやすいです。そのため、販売店を選ぶ際は同等規模の百貨店・デパートの導入経験がある業者を選ぶようにすれば、低予算の導入方法や多数のカメラ映像の効率的な運用方法を提案してくれるはずです。