施設管理者必見。不審者の侵入を未然に防ぐ対策を解説
介護施設や障がい者施設といった福祉施設をはじめ、あらゆる公共施設において、昨今は不審者の侵入により重大な事件に発展する事例が増えてきています。施設の利用者の安全を確保するため、施設管理者は日頃から不審者の侵入対策を模索し、犯罪者の新しい手口にも対応できる防犯対策を講じる必要があります。
そこで、ここでは施設における不審者の侵入事例、及び最新の防犯対策を解説します。
施設で懸念される不審者の侵入と事件
2016年には神奈川県の福祉施設で入所者45人が侵入者に殺傷された事件がありました。2021年には幼児施設に不審者が侵入し、刃物を振り回す事件も発生。安全神話の崩壊を告げるような重大事件の多発により、各施設管理者は一層の防犯対策の徹底を余儀なくされています。
施設における不審者の侵入対策の現状
現状、不審者に対する効果的な防犯対策を講じている施設は決して多くありません。「訪問者の名簿記入の義務付け」、「施設内の見回り」、「防犯マニュアルの作成」といった基本的な不審者対応をレギュレーション化しているところは多いですが、不審者の侵入を未然に防ぐ対策としてはどれも不十分であり、また実際に犯罪者の侵入を許してしまったときの具体的な対応も整備されているとは言えません。
人的対策の有効性の問題
上記でご紹介したマニュアルは人的な防犯対策となりますが、実際に刃物など凶器を持った不審者が侵入したときに、冷静になってレギュレーション通りに問題を解決できるかは難しいところがあります。
防犯対策を講じる際は、セキュリティ機器となる「ハード」と、安全管理体制や人的防犯活動の「ソフト」の両方を徹底することが重要となります。そのため、ソフト面ばかりに重きを置いてしまわないようにしなければなりません。
施設内で不審者が侵入したときの問題
実際に不審者の施設内への侵入を許してしまったとき、施設に勤める従業員は迅速に警察に通報し、警察がくるまでの間、施設利用者の安全確保に努めることになります。
また、施設管理者や施設オーナーは、利用者の安全と同時に、従業員の身の安全も考慮した対応が求められます。
施設利用者全員に避難誘導をすることは困難
施設の中でも自分で行動することができない入所者がいる福祉施設においては、不審者が施設に侵入してきた際、臨機応変な避難誘導が困難となります。通常のマニュアルでは、入所者を安全な空間(多くの場合は空き室)に誘導して施錠し、身の安全を確保することになりますが、寝たきりの人や車いすの入所者を混乱時にスムーズに避難誘導するためには、日頃からの訓練が必要となります。
警察が施設に到着するまでは10分以上かかる
施設に不審者が侵入した際に、管理者及び従業員がまずすべきことは、警察に通報することとなります。しかし、警察が施設に到着するまでは最短でも10分前後かかることが想定され、また時間帯によっては渋滞にはまり、さらに遅延することも考えられます。侵入した犯罪者の性質や目的によっては、警察が来るまでの十数分の時間を食い止めるのは、なかなか難しいかもしれません。
施設で整備している不審者の侵入対策は実際使えるのか疑問
各施設では、防犯対策グッズとして「レニガード(防犯シールド)」や「さすまた」、「催涙スプレー」、「カラーボール」などを常備していることでしょう。これらは侵入者と直接対峙する防犯グッズであり、使用には大きなリスクを伴います。特にさすまたなどの武器は、相手に奪われてしまう危険性も考慮しなければなりません。
施設に設置されている防犯カメラの再考が必要な理由
施設で活用されている防犯カメラは、現状「侵入者の顔を特定すること」に特化している印象を受けます。犯人を特定することで、確かに警察の逮捕に協力することができますが、これは事後対策となり、すでに甚大な被害が出たあとであるかもしれません。
施設における防犯カメラの本来の活用方法は、「不審者の侵入を未然に防ぐ」ことにあります。そのためには専門家の立会いの下、不審者の侵入を抑止するための防犯カメラの設置場所や台数を検討しなければなりません。